インタビュー

2022/02/01

現場の声を活かして「ごみの収集」から「情報の収集」という新しい価値の創造へ。【座間市 佐藤弥斗市長、座間市資源対策課 依田玄基課長】

ごみ収集車の無事故運転継続記録2000日、子どもたちとごみ拾いする「クリーンアップ活動」など、ごみ収集や啓発活動に取り組んできた座間市。また、内閣府主催の地方創生☆政策アイデアコンテスト2021にて提案したリサイクルのアイデアが地方創生担当大臣賞を受賞するなど、ごみ問題の解決にますます力を入れています。

2020年の8月からWOOMSとスタートした実証実験を振り返りながら、市民や企業との共創、循環型社会形成への取り組みなどについて伺いました。前半は佐藤弥斗市長、後半は資源対策課の依田玄基課長にお答えいただきます。

佐藤弥斗(さとうみと)
座間市長。座間市議会議員を15年10ヶ月勤め、令和2年10月より現職。結婚のため座間市へ転入し、4人の子どもを持つ。趣味はコーラス。特技は剣道(2段)。

依田玄基(よだはるき)
座間市資源対策課 課長。平成元年にごみ収集員として入庁し、後に再試験を経て事務職へ。通常業務の傍ら、民間時代のITスキルから都市インフラ部門のDX化に尽力し、平成24年から再び廃棄物行政に従事。趣味は仕事。

市民との「共創」を通して目に見えないものを大切にする試みを

まずは、佐藤市長にお伺いします。市民との共創として、座間市ではどんな取り組みをしていますか?

佐藤市長:
まずは、市民の皆さんに座間のイメージや、「こんな座間にしていきたい」といったご意見を伺いました。懇談会や未来デザイン会議のほか、ポスターにメッセージを書いていただくポスターセッションという手法で、イメージや要望を気軽にご意見いただけたと思います。

座間のイメージは年代によってずいぶん違いますが、少し年齢が上の方ですと大凧まつりや座間キャンプや古くからある企業、若い方なら最近できた商業施設のイメージが強く、毎年8月に開催される「ひまわりまつり」とおっしゃる方も多いです。加えて、自然が多く、水がおいしい、住みやすいといったイメージですね。

そのようなご意見を受けて、ゆったりできる「ほっこりとした街」、自然と親しむような「スローライフ」というコンセプトで街づくりをしていけたら、と考えています。

この2年はコロナという「見えないウイルス」に翻弄される中で、見えないものの大切さもわかった時期ではないでしょうか。この機会によって、見えない心のありよう、人と人とのつながりの大切さを教えてもらえたような気がします。

市制施行50周年の記念事業を市民のみなさんの提案で、市民の方たち主体でやっていただきました。その中で市民の皆さんが作られた「座間讃歌」には「見えないモノが見える街 座間」という副題が。改めて、市民の方に大切なものを教えていただいているのだと感じます。

小田急電鉄との共創は、これまでの座間市にない先進的な取り組みになった

企業との共創については、どのように考えていらっしゃいますか?

佐藤市長:
市だけでは解決できない社会課題はたくさんあり、特に温暖化は大きなトピック。二酸化炭素の削減は行政だけでできるものではなく、民間の企業さんや市民の皆さんとの共創が不可欠です。行政と企業で話し合いをして、そこに市民の皆さんを巻き込んでいくような政策を作っていきたいと考えています。

企業さんもそれぞれ、SDGsに向けた目標や理念があります。同じような方向で手を組み、取り組んでいくことがお互いにとって効率的でしょう。大きな範囲で考えると、まず地球が存続しなければ誰も生き残っていけないので、その中で私たちの住む日本がどうあるべきかと見据えながら進んでいく必要があると思います。

企業との共創のひとつに、小田急電鉄とのサーキュラーエコノミー推進の連携がありますが、率直にどのような感想をお持ちですか?

佐藤市長:
これは本当にありがたい試みだと捉えています。国内でも先進的な事例として、小田急電鉄さんとの取り組みが評価されているのは喜ぶべきことです。

パッカー車に搭載したタブレットでデータを管理した運用により余力が創出されたなかで、これまで職員が培ってきたノウハウを活用することで、他のごみと一緒になってしまっていた剪定枝を分別できるようになりました。それがさらにバイオマスの燃料になるなど、資源循環につながっていくことをつくづく実感いたしました。

また、座間市での取り組みがNHKで紹介されたときには、見てくださった市民の方が「座間市民でよかった」「誇らしいと思った」と言ってくださいました。誇りに思っていただけるような活動ができていることは、本当にうれしいことです。小田急電鉄さんと市の職員とが良好な共創により切磋琢磨して成果を出していただいていることに、感謝の思いでいっぱいです。

役所の職員との距離を縮めるような活動を

佐藤市長からは、市民や企業に対して共創の意識がしっかり伝わります。また、職員の方に対しても距離が近いと感じますが、どのような工夫があるのでしょうか?

佐藤市長:
議員時代は自転車で市内を回っていたので、市民や職員の皆さんとは本当に身近な存在だと感じていました。皆さんが声をかけてくださったのもあり、話をする機会は多かったのです。ところが市長になると、実はなかなか人と話せない。「相談がある」と言って来てくださいますが、私はやはり現場を見ないとなかなかイメージがわかないタイプなんです。

できるだけ現場に行きたいと考えたときに、朝なら時間があるとわかりました。市役所の地下2階から階段で上がりながら、警備室や売店、職員の皆さんに挨拶をしながら回ります。一番上の展望回廊で市内を見渡して、「今日も一日市民の皆さんが無事に幸せに過ごせますように」と願ってから執務室に入ります。

「日本一、元気で楽しいまち座間」を目指しており、そのためには職員の皆さんが元気で楽しく働いてくださるのが一番大事。そのため、これまでは実施していなかった係長級の方たちとも面談をさせていただくようにしました。皆さん本当に個性が豊かで、そういう素晴らしい職員の皆さんとお仕事ができるのは大変ありがたいと思っています。

これからも、各駅停車のほっこりとした体験ができる街へ

今後取り組みたい課題などがあれば教えてください。

佐藤市長:
座間市は物流倉庫が多く、道路のアクセスが多いことから今後も増えることが予想されます。ただ、渋滞がとても深刻化しているんです。渋滞の解消のためにどんなことができるかわかりませんが、企業さんからもアイデアをいただけたらと思います。

また、座間市の人口はまだ減少していませんが、これからは減っていくと思います。そんな中で、座間に訪れる交流人口を増やしていくのが地域経済の活性化につながると考えています。各駅停車のちょっとほっこりできる体験のために、小田急電鉄さんとはこれからも連携させていただきたいですね。

同時に、社会課題を解決するという方向性を打ち出していけると、若い方にも住みやすい街として認識してもらえる。これからもいろいろお話しながら、共創していければと思っています。

具体的な取り組みとして、駅前キャンペーンやごみ収集のデジタル化

後半は、依田課長にお伺いします。座間市の具体的な循環型社会形成の取り組みについて、教えていただけますか。

依田課長:
平成12年に国が循環型社会形成を推進しはじめましたが、長らくは形ばかりだったような気がします。また、私たちのような中規模の市は、国の施策に沿って進めていくのが基本的な流れですが、国の動きを待っていては今のSDGsの時代にそぐわなくなってきています。そのため、私たちの持つリソースでできることを考えていく必要があると思い始めました。

施策の中で、具体的な例をいくつか教えていただけますか。

依田課長:
担当者として思い入れがあるのは、座間駅周辺で実施した「啓蒙キャンペーン」です。私たちはどうしても事務所でことを済ませようと考えがちですが、循環型社会を形成するには、市民それぞれが主役でなくてはなりません。市民に直接触れ合い、マイクや看板を持って直接訴えかける。それが一番古い取り組みでした。

同じころ、クリーンセンターのパッカー車を使って子どもたちに対するイベントがスタートしました。ごみ処理を担っているクリーンセンターが、市内の保育園や幼稚園、小学校などに訪れ、資源の分別や環境問題について啓発活動をする。持っているものを使い、とにかく直接市民の前に出ていく。この行政らしからぬ取り組みが、一番盛り上がりますね。市長の言う、自転車で回るのと同じでしょう。

市民の方が、一生のうち市役所に来る回数を考えると、両手で足りる方もいるでしょう。ところが、クリーンセンターのパッカー車は1日に同じ場所を何度も回る。クリーンセンターの職員は、市民と触れ合い、街のことを知る機会が行政の中で最も多いと言えます。いわば、街を知り尽くしているわけで、行政から見るととても優れたアンテナなんです。

彼らからもらうアイデアは、実際に現場で見聞きして感じたことのフィードバックなので、当然市民に刺さると考えられます。ごみ収集をするだけでなく、循環型社会形成の第一歩としてアイデアを出してもらうことがさらなる推進になると考えています。

WOOMSを使って取り組んだごみ収集の効率化によって、作業効率化だけでなく剪定枝の分別なども実現しました。現場のアイデアをすぐに実行に移すことが大切だと考えています。

既存のものを改善するより、新しい価値を生み出すチャレンジを

ごみ収集という行為が、新しい価値を生み出しているんですね。

依田課長:
以前は、街をきれいにするという目的で、ごみを散らからないように集めることが第一でした。ところが、「ごみ集め」に「情報集め」という新しい付加価値が生まれました。さらに、ごみ収集車のパッカー車が啓発活動そのものになっています。パッカー車を座間市のキャラクター「ざまりん」でラッピングデザインすることで、今度は「発信」という価値が加わった。ごみ収集は公衆衛生を目的とするだけではなく、循環型社会形成の主力事業になり得る可能性を見いだせています。

情報を集める部分では、災害対策としても可能性がありますね。

依田課長:
災害が起こると、情報収集が一番重要になります。ただ、そのためのツールを用意するにも、日頃使わないものに費用をかけることになりますので、財政的余力がないと難しいと思います。でも、ごみ収集のために取り入れたWOOMSは、いざという時に情報収集にも転用できます。これは想像していなかった付加価値です。

私自身は、システムエンジニアから紆余曲折して市の職員になりました。システムを作るスキルがあっても、それだけが仕事ではない。システムを使ったその先で叶えたいものを必ず見据えて、理念としてしっかり持つようにしています。今後も小田急電鉄さんとは、既存のものではなく、今までなかった新しい価値を生み出す方向で取り組みたいと思います。

システムだけでなく現場に入り込めるのがWOOMSの価値

WOOMSに対する率直な感想をいただけますでしょうか?

依田課長:
システムだけを考えると、同じようなシステムがないわけではない。でもそれを使ってもらって効果を出すのは簡単ではありません。現場の反発があったり、うまく活用されないままだったりするのが現実です。

ところが、WOOMSのすごいところは、使ってもらうためにWOOMSのチームが現場に入り込んでいるところ。システムが素晴らしいのはもちろんですが、インフラ維持に関する現場のスキル・マインドや、システムによって生まれた余力の活用先までを提案できるところはどんなシステムベンダーも持ち合わせていないのではないでしょうか。

街の重要なインフラである鉄道を安全に維持するなかで、一般消費者にむけて商業施設の運営や、各種イベントなどを通じて街づくりを進めてきた小田急電鉄さんだからこそなのでしょう。現場感覚・市民感覚をシステムに反映させられることが強みなのだと思います。

システムと人の融合というのは、システムエンジニアのスキルとしても個人的に考えていたテーマ。人類の歴史上ずっと存在する「廃棄物」という取り組みの中で、システムと人の融合を実現できるのはすごくやりがいを感じています。

最後に、循環型社会形成を実現するために、今後の課題をどうとらえているか教えていただけますか。

依田課長:
廃棄物処理に関していえば、やはり主役は市民です。どんなに優れたシステムがあっても、ごみの分別をして、日常生活でごみを減らす努力をしてくれる市民があって成り立ちます。廃棄物をただ運ぶだけでなく、市民の意識改革につなげることが、どの自治体も考えるべきテーマになるでしょう。

さらに、ひとり一人の意識改革をするには、リーダーシップを取るべき人間の発信力が必要。国の政策に従って受け身でいるだけでなく、私たちのような地方行政が今まで持ちえなかった「発信力」を高めていく必要があります。

小田急電鉄さんなどの企業と連携することで、発信力の強化に努めたい。そのような積み重ねが、いろいろな社会問題の解決につながっていくと考えています。

interviewer=米山 麗・三瓶 公博・田村 高志

editor=栃尾 江美

photographer=佐藤 博昭

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